DXのまとめと自分なりの感想です
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2020.12 DXレポート2 中間とりまとめ
概要
- 経済産業省の出しているDXレポートを主に参考にした。
- コロナ前とコロナ後ではDXの捉え方がかなり異なっているので、他の資料を見に行くときはどちらのDXレポートを下敷きにしているかをチェックする
- コロナ前はDXとは「攻めのIT経営」とだいたい同じ。競争優位性を確保するためにIT活用する(外向き)
- コロナ後はDXとは「ITシステムだけでなく、企業文化(固定観念)を変革すること」(内部にも働きかけが必要)
コロナ前のDXレポート
- IT技術を使う -> サービスが向上or新たな価値を生み出す -> 顧客が増える -> 競争上の優位性 -> 経営がよくなり、企業価値が上がるはず みたいなロジック。
- レガシーシステム刷新すると、ブラックボックスが解消され、データが活用されて、迅速にビジネス・モデル変革ができるとしている -> 本当?
- DX銘柄というのがあるが、これはもとは「攻めのIT経営銘柄」と呼ばれていたので、トップダウンで経営に直接プラスになるようにIT技術を活用する想定
- 2020.06のIPAの動画(https://www.youtube.com/watch?v=GqoyKHWKZ_s)もみたが、面接官が分かっていないのが皮肉。
コロナ後のDXレポート
- コロナ前のDXレポートを受けて
- DXの本質は「ITシステムだけでなく、企業文化(固定観念)を変革すること」とのこと。
- コロナ前のDXレポートでは、企業内部の体制に対してそれほど強調されていなかったが、2020.12ではコロナ禍の影響ということもあり、かなり押されている。
- DXを3つの異なる段階に分解している
- デジタイゼーション -> デジタライゼーション -> デジタルトランスフォーメーション
- 「これらは必ずしも下から順に実施を検討するものではない」というのはよくわからない
- デジタイゼーション -> デジタライゼーション -> デジタルトランスフォーメーション
経済産業省のDX
- 基本的に紙 -> 電子化をすすめる
- どのサービスで内製化を行っていて、どのサービスでITベンダーを使っているのかを知りたかった。
感想
レポートの中に言葉の定義がないものが多いので、読みにくい。例えば、ソフトウェアエンジニアリングの領域ではクラウドの本質はDevOpsであるが、このレポートで述べられているクラウドは「より迅速に変革するために用いるツール」という捉え方をしているので混乱の元である。事実混乱してる人もいて、https://www.slideshare.net/TokorotenNakayama/dxdevopstechlive とかはDXとDevOpsを同列に持ってきてるので経済産業省の想定しているDXとずれている。ちなみに僕はアジャイル開発と刷新の結びつきがよくわからなかった(刷新って絶対必要? 改善でもいいのでは?)
IT技術を銀の弾丸(魔法のようにすぐに役に立つ特効薬。「銀の弾丸はない」という格言は、「そんな魔法は、身近にはない」という意味として使われる)と捉えている用に見える。例えばクラウドは特効薬だと考えるのは良くないが、メリデメがどのようなものであるのかはあんまり周知されてないように思える。顧客データや自社データを抱えている企業の中にはセキュリティー上の懸念からパッケージ版を採用しているところもまだまだ多い。例えばグループウエアを開発している企業の有価証券報告書などを見ても全体に対するパッケージ版の売上はまだまだ多い。新技術の採用に関してはメリットとデメリットを比較検討するはずなので、その材料を提供するべきだと思う。
「DX銘柄2020」選定企業レポートはDXの促進加速を啓蒙しているようには見えない。確かにIT技術を活用して競争力の優位性を保っている例で経済産業省の理想とするIT利活用のイメージはなんとなく掴める。しかし、DXレポートで強調していたクラウドの利用やアジャイル開発、レガシーシステムからの脱却とあんまり結びついていないので、他の企業がファーストステップとして何をすべきかがよくわからないレポートとなってしまっている。またafterのみで、beforeが書かれていない所もだめ。
プログラミングやAI、ブロックチェーンなどの今どき流行りの技術を学び続けるマインドセットも確かに重要なんだけど、(結局使えずに終わりになるパターンが多いので)それよりも社内でexcelをどれだけ有効活用できているかとか、それによって改善できるKPIがあるかの判断を養うとかそっちのリテラシーのほうが10倍くらい大事。流行りの技術に流されずに最小限の小さいことから始めるのが、急がば回れで一番良いような気がする。ワークマンは社員全員excelを活用しているらしく、エンジニアを生業としている私から見ても素晴らしいと思う。
2020.12のDXレポートは以前のものと比べて、入り口のハードルが下げられたとは言うものの、まだ多くの企業にとってはハードルが高すぎる気がする。 デジタイゼーション -> デジタライゼーション -> デジタルトランスフォーメーションという3つの段階に分解したのは良いと思うので、紙から電子化への移行をすすめるにはどうすればよいかなどを深堀りするのが良いと思う。実際、経済産業省のDXもデジタイゼーションの段階で苦労しているようなので、他の日本企業の多くもさもありなん。この問題の原因を「変革への危機感の低さ」と言ってしまうのは経済産業省自身の首も絞めてるよね。
デジタイゼーション(第一段階)やデジタライゼーション(第二段階)を実現するにあたっては、新規に自社で開発するというよりも、既存のSaaSを活用することになると思うので、例えば、デジタイゼーションの脱はんこを実現するのに有効なツールは現状こんなのがありますだったりとか、グループウェアのツールを使ってみて、最初はいろいろ問題があったけど、運用過程で社内でこのように解決しましたなどの例示があると良いと思う。デジタル庁とDXの関係性にも注目したい。